マンションの合鍵管理について
マンションにおいては、以前はマスターキーと言われる全ての住戸の鍵を開けることができるキーがつくられ、管理人等が所有していました。しかし、裁判において他人の住戸を勝手に開けることができる鍵は違法であるとの判決が下され、その後日本のマンションではマスターキーが使われなくなりました。
マンションの管理は通常管理組合から依頼された警備会社等が行いますが、警備会社は合鍵の預かりを拒否しています。マンション全体の警備において個別の住戸までは責任が負えないからです。
管理人室のセキュリティを厳重にして、そこに合鍵等を保管して警備会社に管理してもらう方法も考えられますが、消防法の関係で外から開錠できる構造になっていなければならず、この方法は使えないのが現状です。
現在のところ居住者全員の鍵を同意無しに預かることは法的に不可能な状態ですが、その打開策として組合の総会等で住民の合意を取り付けて預かる(議決を得ることができれば組合長等に合鍵を預けておき、緊急時に使用する)方法が考えられます。
しかし住民の合意が得られない場合はこの方法は使えませんので、マンションの管理対策は手詰まりとなってしまうのが実情です。したがって各住戸に個別の事故や事件、問題が起きたときは消防や警察などの公的機関に頼らなければならず、そうなると著しい負担となっています。
現在のマンションは住民同士の共同体意識がなく、個別の権利のみを主張する風潮が強い風潮にありますので、今後しばらくの間はマンション管理は困難な状況が続くかもしれません。